C型慢性肝炎治療

非インターフェロン治療の適応を慎重に評価し、治療に取り入れることが大切です。

当院ではC型慢性肝炎の新しい治療法を取り入れ、患者様ひとりひとりの病状に最適な治療を提供いたします。
これまで副作用の点で問題の多かったインターフェロン治療に代わり、副作用の少ないC型慢性肝炎への経口薬治療をいち早く検討し、適応を慎重に評価のうえ、治療に取り入れることが大切です。

第1章 C型慢性肝炎の自然史

I. 放置した場合の病態予測とその限界

C型肝炎とは、C型肝炎ウィルスの感染によって引き起こされる病気で、肝硬変後期に至る以前では、無症状のままです。無症状のまま、30年~50年後には肝硬変や肝細胞癌に至ってしまう可能性が高い病気とも言えます。 C型肝炎ウィルスに感染した歴史を有する方、または感染後持続してウィルスと共存している方は、日本全国で約200万人➞人口の約2%➞50人に1人の割合で存在すると推定されます。 大まかな目安としては、小学校のひとクラス毎に1人のC型肝炎ウィルス感染歴を有する方ありに近い割合です。

ご自身のC型肝炎ウィルスの感染を知る契機は、肝臓に関連する自覚症状から判明する方は少数派です。 肝臓以外の様々な疾患に関連した諸検査、手術前準備検査、人間ドック、献血などで肝炎ウィルス等を発見される方が80%以上の多数派です。 この内、約99%の方は、肝臓に直接由来した自覚症状はありません。

無症状であるが故に、肝炎ウィルス検査の結果は、気にしなくても良いと考える方が少なくありません。 しかし、上記の様な肝炎ウィルス感染症の20年~60年に渡る自然経過や、終末病態=肝硬変や肝細胞癌への移行を考えると、専門医を受診し、正確な病態を把握する事が必要です。

過去にB型、C型共に肝炎ウィルス検査が陰性であっても、約10年後には再びB型やC型肝炎ウィルス感染の有無を調べる事が望まれます。 理由は、肝炎ウィルスの検査法が少しずつ進歩しているからです。 ごく稀ですが10年前と検査結果が異なる方が存在します。 また、ヒトは独りでは生きられない動物で、“人の間で生きる動物➜人間”と命名されている訳ですから、周囲の皆様の感染症や、近隣国の感染症は他人ごとではありません。

C型肝炎ウィルスに感染されている状況で、放置(無治療)した場合の自然経過を下記の赤線に示します。


文献:(財)ウィルス肝炎研究財団のホームページから引用、改変
肝炎情報センター肝炎ウィルス検査マップホームページから引用、改変

第2章 C型慢性肝炎の主な治療法とその副作用

I. 守りの治療

肝臓組織の損壊を防止し、肝機能の改善を図る治療法です。 ウルソデオキシコール酸の内服やクチルリチン製剤注射は守り治療の代表です。 原因の治療ではなく、結果を修繕する手当に相当します。

肝硬変や肝がんへと進行した場合は、多くの場合、検査と治療の積重ねや食事制限などが必要です。 肝細胞癌への早期局所治療に成功しても、数回再発を繰り返した後の肝細胞癌は、 より悪性度の高い肝細胞癌や治療の困難な形状、部位に肝細胞癌が同時多発する場合あり。 治療に難渋する場合が少なくありません。 長期間に渡る綿密な検査・注意力の持続が必要です。 したがって、慢性肝炎までの段階でしっかりとした治療を行い、肝硬変への移行を阻止する事が特に重要です。

(1) 一般療法:食事療法、運動療法、便秘症対策も大切な守り治療の一つです。 偏食せず、充分な量が有り、しかもカロリーが低い、葉物野菜を充分量の温野菜の形での摂取を勧めます。 お酢の味や薬味を積極的に取り入れ、脱水回避、高塩分食回避(7g/日以下)が大切です。 睡眠不足を避けて➞7時間未満では不足です。

便秘症解消の(6日以上/週の排便を)が特に重要です。 便秘症を放置すると、肝全体に消化管内部の毒素が戻り、肝の負担が急性増悪し易くなります。 肝不全や肝性脳症を誘発することが少なくありません。高齢者、女性、肝硬変後期の場合は特に意識して注意する必要があります。 脱水状態や長時間の紫外線暴露を避けることも有意義です。

有酸素運動(有酸素歩行・ジム・水中歩行)を定期的に計画され、週当たり120分へ達する様に徐々に習慣化する運動療法を勧めます。 運動の種類は有酸素運動ならば種類を問いませんが、肝硬変後期以外はしっかり歩行と室内体操(みんなの体操など)がお勧めです。 体調不良日や悪天候、極端な睡眠不足日は運動不適です。しかし、運動療法が習慣化すれば、便秘解消、睡眠深度不足、気分イライラの 改善に効果が多くの方でみられます。まず、約2年間続行するつもりで初めてください。

後日、肝臓病が進行して、肝硬変後期や肝癌へと進行した場合は、入院治療や食事制限などが繰り返し必要となる場合が少なくありません。 致命的な病態に至る可能性が大きく増加します。したがって、慢性肝炎の段階以上に終生進行しない様に確実な治療が必要です。

(2) 守りの薬物治療:薬内服、定期注射

攻守 治療 効果 代表薬 副作用等
守り 内服薬 胆汁の流れを改善し、肝臓補助 1. ウルソデオキシコール酸(商品名ウルソなど)
2. グリチルリチン製剤(商品名グリチロン…)
弱い
(腹部ゴロゴロ感、浮腫、血圧上昇)
守り 静脈注射
点滴
肝臓内部の炎症を鎮静 グリチルリチン注射薬(商品ネオミノファーゲンC等) 弱い
(浮腫、血圧上昇、体熱感)
守り 瀉血200~400ml/日の脱血を1~2回/月 瀉血により鉄分減少→自由鉄による肝細胞への刺激が減る 類リンゲル液 弱い
(めまい、貧血)

II. 攻めの治療

(1) 従来型のインターフェロンによるC型慢性肝炎治療

攻守 治療 効果 代表薬 副作用等
攻め 皮下注射 インターフェロンが原因ウィルスを排除 ペガシス
ペグイントロン
強い
インフルエンザ様症状(高熱、倦怠、関節痛)、うつ気分、不眠、免疫異常(肺線維症、甲状腺障害)
攻めの補助 注射と内服:必ずインターフェロン注射薬と併用 C型肝炎ウィルスの遺伝子を変化させ、インターフェロン治療による抗ウイルス作用を増強 レベトール
コペガス
中程度
貧血

注射器 従来型のインターフェロン治療が主体で、週に1~3回の注射により治療します。 インターフェロン治療は優秀な治療ですが、副作用としてインフルエンザ初期症状に似た症状 (高熱、倦怠感、関節痛、食欲不振)、憂鬱な気分、不眠、めまい、リウマチ類似病態、貧血、肺繊維症、 甲状腺障害等が起きる場合もあります。 ただし、副作用の出方に大きな個人差があり、時に副作用が強く治療を中断する必要な場合があります。

(2) 新治療法:非インターフェロン治療
・・・抗ウィルス効果を有する経口薬によるC型慢性肝炎治療

攻守 治療 効果 代表薬 副作用等
攻め 内服のみ:インターフェロン注射薬は使用せず ウイルスの増殖や複製を抑制 ダクラスタビル(商品名=ダクルインザ)、アスナプレビル(商品名=スンベプラ) 耐性変異株の存在・AST,ALTの上昇・ 多形紅斑に注意
攻め 内服のみ:インターフェロン注射薬は使用せず ウイルスの増殖や複製を抑制 レジパスビルとソホスブビルの配合錠(商品名=ハーボニー配合錠) 弱い(2015.7.3に 製造承認) 2015年秋に発売見込

薬 インターフェロン系薬剤の注射薬を使わずに、C型肝炎ウィルスを排除できる内服薬が2014年に登場しました。 第一弾は2014年9月に発売された、ダルクインザとスンベプラ)の併用タイプです。

2015年9月には第二弾の薬=ハーボニー配合錠が発売されました。厚労省からの承認を得られたハーボニー配合錠=レジパスビルとソホスブビルの2つの成分が一つの錠剤に入っている飲み薬です。すでに、さらに2種の新しい抗ウィルス治療薬(ウィルスの増殖や複製を阻害する薬物)の発売見込みが有ります。非インターフェロン治療の選択肢は、薬剤種類が増え、数年のうちに多種に広がり、C型肝炎ウィルス感染症の治療の中心になると推定されます。

III. 抗ウィルス効果を有する経口薬によるC型慢性肝炎治療の有効率
=血中C型肝炎ウィルスの陰性化率

① ダクラスタスビルとアスナプレビルの併用療法は、2014年に熊田らKumada※1が発表した日本人222人を対象にした第3相非盲検試験報告※2では、 81~87%のSVR24の達成※3が報告されています。その後も多施設からの報告をまとめると、過去のインターフェロン治療への反応不良例※4や、代償期※5であれば肝硬変に至っていても、80%以上の有効率が示されています。今後発売される新規C型慢性肝炎用の効ウィルス薬も、概ねこのレベルのウィルス血症消失率=有効率と推定されます。

※1:Kumada=虎の門病院の熊田博光先生らが中心となった、抗ウィルス新薬の有効性・副作用を調べる臨床の現場で行われた服薬試験の報告。

※2:第3相非盲検試験報告=一定の事前調査・了解・承認を得た上で、実際の治療に近い形で、患者様に新薬を服用して頂き、その有効性や副作用他剤との相互作用、適切な用量を調べる試験。
:非盲検試験=通常は、二重盲検試験の反対語。二重盲検試験とは、投薬する医師側も、投薬を受ける患者側ともに、試験的に服用する薬の真偽を知らない状況での試験的薬物治療の場合を指します。薬が”対象となる新薬”なのか、外観は全く同じだが、”偽薬(中身は乳糖やでんぷんだけが多い)”など、医師にも患者にも判らないまま服用して頂き、その薬の効果を判定する試験方法。

※3:SVR24の達成=SVR24とは治療終了24週後に『血液中にC型肝炎ウィルスが検出されない』の1点のみを評価基準とした、治療効果の判定方法。ほぼ治癒と考えられるが、まれには終了後24週(半年)を経て以降に、C型肝炎ウィルスによるウィルス血症が再発する症例も存在する。この様な症例を考慮に入れていない点には、留意すべきです。

※4:反応不良例=抗ウィルス治療を行ったが、血液中のC型肝炎ウィルス量が、減少しない症例を指す。通常、C型肝炎ウィルスの検出には、現在の日本の保険診療では、HCV核酸定量(PCR法)が用いられ、HCV核酸定量検査値が減少することが、治療への反応を示す指標です。HCV核酸定量の結果値が、”2.1Log未満かつ検出せず”にまで減少すれば、その時点では、C型肝炎ウィルスが血液から検出されない事を示します。”HCV核酸定量PCR法”という、世界で最も感度の高い検査が保険適応で受けられることは、幸せである。

※5:代償期=肝硬変が進行した状況では、浮腫、黄疸、胸腹水などが出現し、肝臓が機能不全を起こし始めている事を示す医学用語が”非代償期”肝硬変である。代償期肝硬変とは、このような非代償期に相当しない肝硬変の前半病態を示す用語。

② インターフェロン治療が開始された(1995年)頃の治験報告で対象となった慢性肝障害症例には、 肝硬変例は含まれませんでした。 肝臓能力として余力のある、条件のやや良好な症例がほとんどを占めていました。 その理由は、肝臓能力として余力の少ない肝予備能が低下した症例では、インターフェロン治療に耐え抜く基礎体力が望めず、 インターフェロン治療の対象から除外せざるを得なかった為の背景の相違と判断されます。

つまり、背景となる母地肝障害※6の余力が、大きく異なっていた治療結果を単純に比較しては、 有意義な結論は難しくなります。 しかし、2013年頃まで実用していたインターフェロン治療は、肝臓治療の最前線臨床家の認識では、55%~60%の有効率が最終評価であるとの認識でほぼ一致しています。

加えて、副作用頻度の少なさ、重症な副作用が少ないことが、今回登場したダクラスタスビルとアスナプレビルの併用療法、ハーボニー配合錠などが、 インターフェロン治療を大きく凌駕する治療として期待できる理由です。

※6:母地肝障害=治療対象は、”C型肝炎ウィルスによる感染症”ですが、その感染を受けている肝臓の基礎病態の程度によって、使える薬に制限が有ったり、副作用や効果の出方に相違が存在する場合が少なくない。
抗ウィルス薬治療その物の対象ではないが、治療行為に関与する重要な背景疾患の程度を示す意味を強調した医学用語。

IV. 抗ウィルス効果を有する経口薬によるC型慢性肝炎治療の真の適応は?

しかし、新しい治療薬が出現したからと言って、慌てて治療薬を決めることは適切ではありません。 新しい治療には、利点もあれば、必ず不利な点もあるはずです。一番大切なことは、ご自分のC型慢性肝 臓病の進行程度を理解することです。

  1. ウィルス排除の治療が真に必要か
  2. ウィルス排除にどの治療法が、どの程度有効
  3. どの位ウィルス排除の治療を急ぐべきか

の3点を知ったうえで、新しい非インターフェロン治療の開始を急ぐべきか、 半年~数年間の間、有効性や副作用の趨勢を見てから判断しても遅くないかを知ることが大切です。

V. C型肝炎ウィルス野生株と変異株

C型肝炎ウィルスは細かく遺伝子構造について調べると、野生株と変異株細分化されます。 C型肝炎ウィルスの一部では、この野生株に紛れて、耐性化したウィルスが混在している場合があります。 変異株を多く含む場合は、新しい抗ウィルス薬が効き難い→有効率がC型肝炎ウィルスを排除に成功する確率が大きく低下します。

新しい抗ウィルス薬投与の前から耐性ウィルスが存在する患者様が20%前後存在することが既に報告されています。 耐性化したウィルスが、どの程度の割合で存在するかを事前にチェックすることが、とても有意義です。 その為には、専門医による精査が適切で、現在感染しているC型肝炎ウィルスの持つ遺伝子情報を分析する特別な血液検査を行い、該当する変異株の遺伝子部分をどの様にもっているかを、事前に調べておくことが重要です。

具体的には、患者様の血液内部に生存するセログループ1型(遺伝子型1b型)のC型肝炎ウィルスの遺伝子を特殊な血液検査により分析します。 その結果、現在感染中のC型肝炎ウィルスの内、野生株が□□%、変異株が△△%と判明します。

野生株の割合が高い症例に対しては、商品名ダルクインザ&スンベプラの併用治療が有効な可能性が高く(80~90%)、変異株の割合の高い症例への有効率は50%以下と低くなります。
ハーボニー配合錠(レジパスビルとソホスブビルの2つの成分が一つの錠剤に入っている飲み薬)では、この様な変異株の割合による有効率の低下は報告されていません。

第3章 C型慢性肝臓病進行度の評価

I. C型肝炎ウィルスによる“ウィルスキャリアー”の場合

ウィルス排除の治療が真に必要かの点については、医師からC型肝炎ウィルスの健常保菌者(C型肝炎ウィルスと共存しているが、 肝臓の状態が健常人と変わらず、保菌者ヘルシーキャリアとも言います)と診断されている場合、は判断が難しいところです。 過去の炎症による負の遺産蓄積は、現在時点での肝炎症の有無のみの検査では、判断でません。

過去の炎症による負の遺産蓄積の有無や未来の炎症による肝臓の障害予測、及び、第三者への感染等の可能性などを複合的に評価する必要があります。本音を話して下さる主治医と丁寧に相談なさる事が望ましいと考えられます。

II. 慢性肝病態進行度の具体的指標は、臨床所見、血液検査、画像診断

これらの慢性肝臓病の進行度判定の指標としては、以下の評価が有用です。

(1)臨床所見………皮膚所見(皮膚の色調:薄い褐色調~鉄さび様の鈍色など)、前胸部を中心としたクモ状血管腫所見、 過労時や感染症時に早朝尿の色調がウーロン茶色※7へ変化する頻度、年単位の経過から判断される肝炎症の変動幅の落差や変化傾向が有用。

※7:ウーロン茶色早朝尿=健常人の尿は、昼間の透明に近い尿色~早朝や脱水時に見られる淡い黄色を示す尿色の間を変動することが、正常な変動です。ウーロン茶色早朝尿と特に記載されるのは、肝障害が強くなると、早朝尿で、最も早期にご自分で肝臓の異常に気付ける場合が多いからです。昼間の尿では尿色に異常が認められなかった場合でも、早朝の1番最初の尿では、ウーロン茶色尿を認める場合が少なくありません。ただし、ご自分の早朝の1番最初の尿色の変化に気付くことが出来るのは、ご本人のみである点は留意要です。この様な場合でも、医療機関を受診した状況での検尿では、”尿の色に異常認めず”の場合が存在する事に、ご留意願います。

(2)血液検査………血小板数、アルブミン値、コリンエステラーゼ値、血液中のC型肝炎ウィルスの遺伝子(HCV核酸定量検査などによる)の数値、IgGの値などが有用です。

勤務先の健診等で多用される肝機能異常AST,ALT,γGTPの高値は、その時の肝障害は反映するものの、長期的な慢性肝病態進行度は反映しない場合が多いので注意が必要です。

(3)画像診断………腹部超音波検査や断層写真(CT、MRIによる)で肝臓の輪郭や肝臓内部の実質を示す画像の粗造さを評価したり、内視鏡による食道静脈瘤のチェックから門脈圧亢進症の有無や肝臓の長期的な慢性肝病態進行度を判断します。

III. 血液検査の落穴=肝機能検査の正常化?

特に、血液検査における肝機能検査AST(GOT),ALT(GPT) ,γ-GTPの数字が基準範囲に戻ると、肝臓病が治ってしまったと誤解する方が少なくないので、注意が必要です。肝機能検査AST(GOT),ALT(GPT) ,γ-GTPの数値はあくまでも、肝臓に現在起こっている炎症(赤くなったり、腫れたり)の程度や胆汁の流れの淀み方の程度を示して居るだけです。慢性肝炎が、一切の自覚症状無しのまま肝硬変へ進展した場合に、肝機能検査AST(GOT),ALT(GPT) ,γ-GTPの数字が基準範囲へ戻り、正常値に近づく現象は、肝臓に係るほぼ全ての医師が日常、毎週のように頻回に経験している事です。

肝機能検査AST(GOT),ALT(GPT) ,γ-GTPの数字が基準範囲に復帰した場合でも、必ず医師に相談してください。少なくとも、血液検査、画像診断のうち超音波検査、臨床所見=普通の腹部や胸部の診察を受けてから、その後の経過観察・画像診断の間隔等を相談して下さい。 防ぐことが可能な肝硬変や肝細胞癌に至ってから、沢山治療しても追い付かない事例は枚挙に暇が有りません。

IV. 肝内部の線維化=広い意味での肝画像診断のひとつ

正式には、肝線維化=F1, F2, F3, F4は肝生検※8による病理組織検査により、この4つの段階に分類します。観血検査を実施できる場合には、肝生検による病理診断(顕微鏡による画像診断)として、F1, F2, F3, F4(高度線維化)の4段階に分類します。この線維化分類に近い判定を補助するのが、超音波検査による肝線維化指標や、血液検査の4型コラーゲン7S、プロコラーゲン3Pなどです。

※8:肝生検= 肝臓の組織を少し採取し検査すること。通常は、腹部超音波検査で肝臓を観察しながら、径2mm以下の針を肝臓に差し、糸状の肝臓組織を試験的に採取する検査。この組織片を顕微鏡で拡大観察し、肝内部のどこに、どのくらい肝繊維構造が増えているか否かを判定します。歯科で奥歯を抜く様な違和が通常ありますが、致命的な危険はまず有りません。しかし、通常、1~2泊の入院が必要です。肝臓の線維化程度を知るには、最も基準になる優秀な方法ですが、簡単な方法とは言えません。

Ⅴ.腹部超音波検査の意味

5-1)従来からの形態診断
=肝臓の輪郭形状、肝臓内部の実質を示す画像、肝臓内部の脈管構造、関連する胆嚢、脾臓、胆管、膵臓、側副血行路などを評価。

5-2)最新の腹部超音波検査による機能=肝繊維化評価
:肝生検に依らない肝繊維化の画像解析による評価

超音波検査による肝線維化指標(LFindexなど)の測定は、肝臓に針を刺す事無く、 通常の腹部超音波検査とほぼ同等手技で、肝臓内部の線維化の程度を表現できます。 当院では、日立メディコ社製の腹部超音波検査装置を用い、適応が有ればLFindexを測定します。 超音波検査による肝線維化指標(LFindex)の測定は、残念ながら未だ一般化されていません。 発展途上の要素も有りますが、今後、様々な慢性肝臓病の分野で有意義な働きをする事は間違いないと考えられます。

第4章 合併しやすい肝細胞癌の早期発見

I.腹部超音波検査の有効性

超音波検査はとても有用で、小さな肝細胞癌の早期診断や肝線維化の程度指標を教えてくれる優れものです。 小さな径20㎜以下の肝細胞癌はもちろん無症状ですので、自覚症状から発見することは不可能に近いのが現実です。超音波検査は被爆の心配がなく、CTやMRIに比較し、費用も少なくて済ます。肝細胞癌に関連する腫瘍マーカー血液検査が提供してくれる“数値結果”の癌発見率は、多くの場合、腹部超音波検査による診断に大きく劣ります。

“数字”より”画像”の方が、早期診断能力は優れています。数字に置き換えられると不思議と納得してしまうのが、人間の心理でしょう。しかし、腹部超音波検査には、超音波が届き難い領域が存在するという問題点が存在します。

II.CT、MRIの有用性と限界

CT、MRIには、腹部超音波検査と異なって、診断に用いる波が届かない領域は有りません。 肥満体型でも、検査に不利でありません。CT画像の分解能は優秀で、現在の画像診断の主柱です。 しかし、血流信号やX線透過度に変化が無いと、CTは腫瘍を検出できません。 径10㎜以下の早期肝細胞癌では、CTでは、腹部超音波検査に比べ、描出能が劣ってしまう場合があります。 CTは多くの場合、造影剤と言う薬剤を使用しないと、肝臓内部の様子を判定不良です。 そして、CTでは、被爆量と腎臓への負荷を考えながら検査を予定する必要があります。

MRIは多彩な断層方向に画像を再構築することにとても有利で、側副血行路の描出に優れます。 しかし、径2㎜以下の細かい境界表現や、強力磁石ゆえの禁忌事項(体内電子機器、体内金属)、 閉所恐怖症の方に不適。MRI用の特殊な造影剤=EOB-MRIとして、肝細胞癌の診断に有用ですが、特殊な施設でないと使用できません。

第5章 非インターフェロン治療=抗ウィルス効果を有する経口薬による治療の総合評価

C型肝炎治療中もしくは治療方針を検討中の方は、ぜひ上記の様な観点から、ご自分の慢性肝臓病の適切な進行度評価をチェックしてください。 宿主側の要因と、病原体側の要因も、正しく評価して下さい。進行度チェックのうえ、どの治療法、どの薬が最適か、少し時間を掛けてかかりつけ医に是非ご相談ください。特に、腹部超音波検査の間隔が長く空いている場合には、自覚症状の無いままに病態が進行している可能性が無いとは言えません。腹部超音波検査等について、かかりつけ医に是非ご相談されますことを、お勧めします。

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